今日、久しぶりに漁師さん宅へ“シラス”を買いに行きました。先日、鎌倉沖でのシラス漁が解禁になりました。春は確実に遣ってきたのです。お彼岸も過ぎ・・・湘南の海の色が厳しさ色から、のんびり色に変わったような気がします。

厚木のスイトピー畑からお花を頂きました。甘い香りたっぷりの毎年楽しみな春のアイテムの一つです。

静岡での『猟銃』のリーディング公演も無事?終わり、沢山の方々に観て(聴いて)頂く事が出来ました。裏で準備を整えて下さった皆様お疲れ様でした。5月は徳島・9月は旭川へ参ります。更なる精進です。

私は、3月に入って間もなく・・・素敵な出会いをいたしました。NHK教育TV「わくわく授業」を拝見していて、一人の素敵な先生に心を奪われたのです。横浜市立盲学校・の道村静江先生です。私は番組が終わってから駄目モトで、早速先生にメールをお送り致しました。どれ程感動したかをどうしてもお伝えしたかったのです。盲学校の子供達は殆んどが幼くして視力を失っています。その子供達との漢字を通しての授業・・・何一つ映像としての記憶の無い彼らに、漢字一つ一つの持つ意味と、そこから広がるイマジネーションの世界を手渡しながら、類似する熟語を教えていく技・・十分楽しみながら答え、考えている子供達・・・私はそこに“信頼”を感じました。短大生と“言葉”の授業を重ねてきている私にとって、どうしてもお目にかかり、お話を聞きたい方だと思ったのです。思いとは・・・通じるものなのです! その後先生から返信のお便りが来て、お電話でもお話して、私が学校をお訪ねするチャンスを作ってくださいました。
3月13日お天気もまずまず・・・午前10時に伺いました。古い建物でしたが、大きくて細かな配慮があちらこちらにされており、校内はホッと心が落ち着きます。先生はTVで拝見した時より、更にはつらつとなさっている方でした。先生の受け持っている生徒さん達と挨拶をして(私の名前をきちんと分かっていてくださって、はっきりと呼んでくださった事には感激でした)午前中は校内や他のもっと小さな子供達の授業風景なども見学させて頂いて、一緒にお給食を頂き(本当に久しぶりで、コレも感激!)、午後はプレイルームで私が2〜3冊の絵本を朗読しました。年齢の違った子供達や障害を持った子供達も一生懸命しっかりと聞いてくれて、細かな反応をしてくれます。温かい時間でした。その後で、なんと! 道村クラスの彼らが“狂言”を披露してくれました。発声の仕方なども本格的。あっぱれ!の一言。どうやって指導したのかとお聞きすると『私、狂言良く分からないのよね』とあっさりとおっしゃる道村先生。「私流」との事でしたが、私もご指導願いたいほどの出来栄えでした。
午後、3時に皆を乗せたスクールバスを見送りながらさよならして・・・私も失礼したのでしたが。生徒の居ない教室で少し先生とお話をしました。
『バスに向かって手を振ったって、彼らには見えてないのだけれど・・・そうしちゃうのヨネ・・・ふふふ』
明るく笑う先生のお顔を拝見しながら、<コレだよな! 何かを伝えるって!>と私は確信したのです。『教育理念なんて・・・ないのよ。どうやって、彼らと本気で向き合っていくか・・毎日毎日の繰り返し。ソレだけ』大柄のお体の中に限りないパワーと深い深い愛を感じました。私が半日学校で過ごし一番に何を感じたか・・・ソレは“他人に対する配慮と優しさ”でした。先生方へも、初めて会った私にさえ・・・思わず涙がこぼれ落ちるほどでした。お互いに支えあっていなければ、誰かが悲しい思いをするのです。何かを信頼していなければ怖くて一歩も前へは進めないのです。彼らはその事をよく知っています。先生はこんな事もおっしゃいました。
『幼い頃から、言葉を唯一の信頼の道具としてきた彼らは・・・言葉の力を必要以上に信じてしまうのよ、些細な言葉もインプットしてしまうの・・・だから、しっかりと考えさせて、自分の言葉を生み出させる事が大切』
そんな道村先生の言葉に改めて“言葉”の持つ意味を思い直しました。
今の日本に一番欠落しているもの、『思いやり』と『深い優しさ』そして『可能性』。コレは彼らの演じてくれた狂言からですが・・・。
とにかく冷たい風の日でしたが私の心には一足早く“桜”が咲きました。立派な視力を持っていても、何も見ていない私たち・・・なのかも知れません。5月前半・NHKTVで彼らのことが放映されるとの事です。

2007年3月23日 Terumi Niki

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