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5月は、私にとって特別な月である。

先ずは自分の誕生の月・そして娘の誕生月でもあり・今年は『母の日』が重なってしまった。

私は4月中旬から芝居の稽古が始まり・ゆっくりできる日はなかった。
「皆で夕食ぐらい食べようか・・・」
父の提案で子供達のスケジュールも合い、食事会が予定された。私は稽古場から、子供達は其々の職場から、そして両親は自宅からと・・・集合場所は成城学園の某レストラン。

ことのほか乗り継ぎがスムーズに行き、私は早めに到着。
吹き抜けになった2階フロアーの書店をふらふらと覗きながら時間を費やし、再び改札口方向を見下ろしていると・・姉弟二人の姿が俯瞰目線に入った。何だか一瞬不思議な思いがした。いつの間にあんなに大人になってしまったのだろう・・・じゃれ合いながら、走り回って喧嘩をしていた二人の姿が重なった。

6歳と言う年齢差は子供時代はとても大きかった。何でもできる姉とヨチヨチ歩く幼児。その間でバランスをどう取るか、私は四苦八苦していた。今、改札口で何か話しながら立っている二人の姿は誰が見ても立派な社会人だ。時間はまるで風のように過ぎたのだ・・と呆然となった。会話が一段落したのか、時計を見ながら、何気なくクルリと二階のエントランスを見上げた息子の目線が私とぶつかった。
「おーい!」
私は今までの回想を吹っ切るように慌てて声を掛けた。おどけた素振りをしながら二人は私めがけてエスカレーターを駆け登って来た。
「おじいちゃん達は?」
結局老人達二人はさっさとレストランへ先に行っていたことが判明し、どたどたと合流したのだが・・・。
またいつ、こんな風な顔ぶれで集合できるか・・・どこにでもある“孫を交えた家族”の集いだが・・・50代最後を迎えたその日の私の思いは・・・ちょっと何かが違っていたようだ。

家族のあり方・・・言われて久しい。100通りの家族が100通りの生き方をしているのだろう。常に寄り添っていなくとも、召集がかかって集った時、笑顔で居られれば・・・それが何よりだと思った。母が私に与えてくれた事を私は子供達に与えてきた。あの子達が家庭を持つかどうか・・・それはさておき、心がほっこり出来る事、家族って、もしかしたらそれだけでイイノカナ?
妙に肩の力が抜けていることに気づき、全てに感謝の一夜だった。

2005年5月30日 Terumi Niki

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