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窓際に置いた小さめのソファーに寝ころび、雨上がりの空を見上げていた。いつもながら、せり出している隣家の大きな柿の樹の枝が視野の半分を塞いでいた。気づくと何時の間に茂ったのか目に飛び込んできたのは枝先の見事な新緑だった『そうか・・五月なんだよね・・・』寒さと暑さが混ざり合った今年の妙なお天気。10日ほど前の誕生日が改めて蘇ってきた。両親、子供達・・ファンの方々から暖かい言葉を頂き、感謝の中でいよいよ60代への本格的道を歩き出すことになった。本格的?って何だ?
最近そう自分に言い聞かせないと、正直妙な不安が襲う。
これから先、どんな時間が待ち受けているのだろうか? 私、大丈夫だろうか?
つくようでまるで想像がつかない先の時間。想像したところで、流れるままなのだが・・・その覚悟はある筈なのだが・・・。

老人・・・と言われるほどの実感は全く無く、また言われたくもないが・・・50代の頃より足腰を無意識にかばっている。
もともと疾患はあったが、あちこちに何種類ものメガネを置いて・・見えない見えないとイライラしている。
80代の両親と話をしながら『ホラ・・・あの人・・・ホラ・・・あの・・・』なんて、他人事ではない。
街を歩いても、電車に乗っても・・・目にする光景に腹を立てるより、ため息が出て心の羽が1〜2本折れる。

大人という括りの、また別の新たな括りの中に強引に引き入れられてしまうようで・・・コレが60代? 危機感を感じるのは私だけであろうか。
イワユル団塊の世代と言われる私達は良くも悪くもケジメみたいな事を学ばせられながら世の中と辻褄を合わせて来たように思う。
どんな時代にも<若い奴等は・・・>と言う言葉が幅を利かせてきた。若年者はその言葉に悩んだり、反発をくり返しながら大人の仲間入りをしてきたのだが・・・。
何だか今は、そんな言葉さえ通じぬ、まるで別の星から来たように妙にキョトンとしている20代30代に出会うと(いや40代も?)・・・。
新参者は・・・戸惑う(笑)。
<大人可愛い>!?
『ナンじゃ、そりゃ! まずは一人前の大人になってから可愛くなれ!』
・・・なんてTVに向かってグタグタ言っている自分に苦笑しつつも、妙な可笑しな日本に暮らしながら、でもその異星人(異成人)達と上手に辻褄合わせていかねばならぬのか・・・と思うといちいち心の羽を折っていたら飛べなくなるぅ!自分に元気を注ぎ込むのだ。言葉の通じぬ人間より、同じ動物でも最初から言葉を発せぬモノと付き合うほうが・・・数倍心が癒されるのは私が病んでいるのだろうか?

五月病ではなく・・・少々60代に突入しきれぬ・・・私でありました。
そんな中、初めて訪れた『いわさきちひろ美術館』で彼女の言葉に触れ・60代を飛んで行けそうな心の羽の治療を受けた。

『大人とは、どんなに自分が辛い苦しい状況にあっても、人に愛を与えられる人』

 

2010年10月26日 Terumi Niki

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